つづき。
さて、その頃息子は2才。
ショウちゃんは息子は噛みません。
やはりどこかで、小さい子である事が分っているんでしょうか。
息子とショウちゃんは一緒にすくすくと育ちます。
結局、ショウちゃんを拾ってきてから、4年ほどそこで暮したでしょうか。
その間に、息子は保育園に出かける様になりました。
(その前も職場の託児所に行っておりましたが)
ショウちゃんは相変わらず閉じ込められていましたが、隙をみては逃げ出してベランダ沿いに人の部屋まで行ってしまったり、ドアからすり抜けて廊下に出てしまったりしたこともありますが、慣れない外界が怖くて遠くへは行きません。
だいたい、少しだけ気晴らしして戻ってきます。
さて、私たちの異動に伴って、現在の勤務地に引っ越しになりました。
引っ越しの際は、やはーり壁紙を張り替えなければいけませんでしたよ。
ショウちゃんがバリバリやっていましたのでね。
爪とぎ用の木も置いてあったのですが、猫の本能には勝てない様です。
今から約7年前の事です。
ここの社宅でもショウちゃんは、箱入り息子です。
そろそろ私たちの自宅を建てようかという事になり、今から3年ほど前に自宅が完成。
それに先だってビリヤード蔵を作ったのですね。
さて、問題はショウちゃん。
前の社宅でも今の社宅でも、ショウちゃんは大活躍でしてね。
あちこちで爪を研ぎ、カーテンによじ登って穴だらけにするしで、とても新築の家に連れて行く気は起きませんでした。
そこで、父の牧場に連れて行くことに。
牧場には”雪ちゃん”と言う先輩ネコ(雌)もいますのでね。
ショウちゃんは最初こそ雪ちゃんを警戒しておりましたが、数日であっという間に仲良くなってしまいました。
今まで、家の中に閉じ込められっぱなしだったショウちゃんは、
そこで大自然を堪能する事になるのです。
野ネズミやモグラもいるし、キジも出て来るし、ウサギ、キツネやイノシシまでいます。(クマもいるのですが、母が一回見ただけで、ほとんど出てきません)
何より、自由に外に出て遊べるというのが良いですよね。
牧場の家には猫用の出入り口があっていつでも自由に出入りできるんです。
夏は牧場でネズミやモグラを追い回し、日向ぼっこをして過ごします。
冬はコタツが居場所です。
今までの生活と比べたらショウちゃんにとっては夢の様な生活でした。
しかし、ある出来事が起きてしまいます。
母は認知症でしてね、父が老々介護をしておりました。
そもそも私たち家族が当地に転勤を希望したのは、そろそろ近くに住まないと危ないんじゃないかという事が理由でした。
それでもヘルパーさんを頼んで、週に何日か来てもらったり、デイサービスに出かけたり、週末は私たちが行って色々手伝ったりして時間はゆっくり流れておりました。
そんな秋のある日、ヘルパーさんがいつもの様に牧場に行きますと、父がパジャマ姿で玄関の外に座っている。
下腿がパックリ割れた怪我を負って。
父は「どうしてここにいるか分らない。家に入ろうとしても鍵がかかっていて入れない。声をかけても母は気が付かない。母に締めだされた。」と言っているらしい。
この段階で私の所へ連絡が入りましたが、あいにく私は仕事で当地を離れており、どうしようもありません。
(どうしてそうなったかは不明ですが)何しろ初秋に一晩締めだされて、怪我をした状態で数時間外で過ごしているんです。御年90歳。
救急車を呼んでもらって、病院へ搬送です。
結局は踵の骨(踵骨骨折)と膝の裏側にぱっくり開いた裂傷。
それぞれ手術して骨の固定と、傷の縫合をされて入院となりました。
そんなこんなで、面倒を見る人がいなくなってしまった母は施設に入所。
ワンコは、散歩やえさをあげないとどうしようもないので連れてきました。
(いずれそんな事になるであろうと、犬用のスペースはビリヤード蔵の隣に作ってありました。4.5畳はある蔵の一室です。)
さてさてショウちゃんは・・・・どうする??
私の自宅に連れてきてもいいけれど、むっちゃクチャにされてしまう。
ショウちゃんにとっては牧場と言う大自然の中で暮らした方が幸せなのではないか。
そう考えた私たちは、ショウちゃん一匹残してくることになったのです(その時点で高齢だった雪ちゃんはもう他界してしまっておりました)。
ごめんよショウちゃん。
でも、家に来たらまた閉じ込められちゃうよ。
最初のうちは、私が毎週牧場に通って餌を山盛りにして、水を汲んで置いておりました。こういうところは猫のすごい所です。満腹になったら食べるのをやめますのでね。
ちゃんと分けて食べるので一度に一週間分餌を置いてきても大丈夫・・・・。
しかーし!
牧場の家に人間がいなくなったことで、他の家の猫が入り込み(しかもいつでもキャットフードが山盛りw)、それを食べてしまうんです。
ショウちゃんはオスですが去勢手術を受けていたり、長い間家の中だけで暮らしていた事もあって、他の猫と争うと負けちゃんですよ。ナサケネエ・・。
時々、ケンカをするらしく前足を大けがした事も(治っていますが、ビッコひいてます)。
週末に私が行くと、時々その猫(茶猫)が家から飛び出て行ったり、家の近くでこちらの様子を伺っていたりしておりました。
それを私が見つけた時には、「うがあああああ~!!」とでかい声を出して追い回すんです。ここは怖い所なんだぞと言う意識を植え込みたい。
ショウちゃんは、食べ物を取られて、みるみる痩せて行ってしまいます。
猫専用の電子ドアと言うものもあって、電子錠を着けている猫だけ出入りできると言う優れものもありますが(過去に使っていた)、すぐに壊れたり、そもそもこういう自然の中で暮らす際には首輪が危ない。
引っかかって首を絞めたりしてしまうんです。
そこで、自動餌やり機を買いました。
時間と量を設定しておくと、その通りに餌が出てくるんですね。
まさか茶猫も一日中家にいるわけではないだろうから、一日二回餌が出る様にしました。水も飲んだ分だけ追加されるようなタンクを買いました。
ところが、↑この記事参照
この機械がまた使えないんですよ。
なので自分で手を加えて何とか稼働するように工夫したところ、タンクにいっぱい餌を入れておけば、だいたい2週間ほど持つことが判明。
ショウちゃんは決まった時刻に出てくる餌を食べる事が出来る様になり、
茶猫が来た時には、トレイはカラという事に。
ざまーみろww。
おかげでショウちゃんは最近肥えてきましたよ。
最近はなんだかんだで(台風の後始末とか)、週に一度は牧場に行っておりますがね。
夏休みに出かけている間は本当に気がかりでした。
牧場に行くと、ショウちゃんが玄関前で日向ぼっこしながら待っていたり、家の中に入ると鳴きながら出てきたり、かわいいやつです。
その時ばかりは抱き上げて思いっきり撫でてあげます。
毛だらけになるけどね。
グルグル~ゴロゴロ~フガフガ・・と甘えて、甘噛みしてきます。
寂しくてごめんね。
ああ、父が怪我をした原因は恐らく酔っぱらって二階の窓から落ちたのだと思っています(二階の窓全開でした)。
踵骨骨折は別名”どろぼう骨折”と言うらしく、高い所からどろぼうが逃げて飛び降りた時に骨折する場所だと。
そうなると、他にどうかなっていないか心配でしょう?
案の定、入院中に父の様子がおかしくなりました。
食事を食べている時にもどんどん左側に傾いていくんですね。
「どうしてそんな傾いて食べてんだ?」と聞くと、「うん?」って。
「皆に傾いてるって言われる」とさ。
自分では分っていないらしい。
これは・・ってCT撮ってもらったら、慢性硬膜下血腫。
そうだよね。二階から落ちたとすれば頭くらい打ってるよね。
そんなわけで、受傷した経緯がぜんぜん分らなかったのですが、そういう時は最初から頭から全て調べてもらうべきでした。
その後、急遽転院して血腫除去術を施行してもらい、数日でまた元の病院へ戻ってきました。
現在は経過も良くとっくに退院しておりますが、元の老々介護はもう無理だという事で、私の自宅の隣で暮らしています。
母は相変わらず施設です。調子が悪い時には、私が誰だか分らない様です。
孫たちを見て「これは誰の子だ?」とかね。
まあ、仕方ない。
そんなわけで、ショウちゃんは一人ボッチなんです。
でも大丈夫、みんないるよ・・・
いないけど、いくからねー。